介護離職問題~介護離職の現状と将来

介護離職問題:介護離職の現状と将来について




介護離職者数
退職願平成22年の総務省の労働力調査によると、過去1年間に離職した人の数は563万人で家族の介護を理由に離職した人の数はおよそ8万人(全体の1.4%)でした。

平成22年の厚生労働省の雇用動向調査では、過去1年間に離職した人の数は643万人で家族の介護を理由に離職した人の数はおよそ5万人(全体の0.8%)でした。対象とした労働者と離職の定義などの違いにより、2つの統計は異なるものの、毎年、約5万人から10万の人が家族の介護のために仕事を辞めていることが明らかになっています。

平成23年の公益財団法人家計経済研究所の調査によると、介護が必要な親と一緒に暮らす中高年のうち、仕事を辞めた経験がある人は男性で13.4%、女性では27.6%となっています。


男女による介護離職者の違い
総務省の就業構造基本調査によると、2002年~2007年の介護離職者数は56万8千人で、そのうち男性が10万1千人、女性が46万7千人でした。女性が全体の82%を占めています。


正社員・非正規社員による介護離職者の違い
2002年~2007年の介護離職者数56万8千人うち、正社員が18万2千人、非正規社員が31万4千人、役員や自営業者が7万2千人でした。

年齢層による介護離職者の違い
男性正社員:15~39歳(19%)、40歳~59歳(51%)、60歳以上(30%)

女性正社員:15~39歳(20%)、40歳~59歳(57%)、60歳以上(23%)

男性非正規社員:15~39歳(17%)、40歳~59歳(24%)、60歳以上(59%)

女性非正規社員:15~39歳(14%)、40歳~59歳(54%)、60歳以上(22%)

統計を見ると40歳~59歳が全体の50~60%と高くなっています。男非正規社員の60歳以上が59%と高いのは、定年後も嘱託やアルバイトなどで働いていた人が配偶者や親の介護などで離職したものと推測されます。



労働者側のリスク
現在、40歳以上で会社を辞めると、よほど特殊な能力を持っていない限り、正社員で再就職先を探すのが大変難しい時代です。また、運良く再就職先が見つかったとしても、以前もらっていた年収に比べ大幅にダウンするケースが多い。40歳~59歳で介護離職すると、その後、男性正社員で52%、女性正社員で66%、女性非正規社員で71%の人が無職となっています。


会社側のリスク
会社側としても、どの従業員に介護問題が発生するかを予測することは不可能であり、突然、働き盛りの管理職を含む中心社員に辞められてしまうリスクがあります。


介護離職は今後増加する一方
現状、介護離職はまだ全体の1%前後なので大きな社会問題とはなっていませんが、今後、日本は急速に高齢化社会へと突き進むので、介護離職者は増える一方です。また、兄弟姉妹数の減少に加え、未婚化の進行で子供1人にかかる介護負担も増す一方です。

介護離職は、本人はもちろん、会社、ひいては社会全体の損失に繋がる問題です。企業側も介護離職をさせない為に介護と仕事を両立できる制度の整備が必要となってきますし、再就職支援などを含めた行政側のサポートも欠かせません。



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