高齢者の食事
高齢者に必要なエネルギー摂取量
高齢者の1日に必要なエネルギー摂取量ですが、これは健康状態や体重・身長などの体格もそれぞれ違うため一概には言えません。
基本的に加齢により基礎代謝は低下しますが、中高年期での低下は考えられていたほど著しくはなく、身体活動が活発な高齢者では加齢に伴う変化は非常に小さいという報告もあります。しかし、80歳以上の高齢者の基礎代謝量を測定した報告は少なく、その年代の変化についてはいまだ明らかになっていません。参考として厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」を載せておきます。
kcal/1日 | 身体活動レベル | |||
Ⅰ低い | Ⅱ普通 | Ⅲ高い | ||
生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合。 | 座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、あるいは通勤・買物・家事・軽いスポーツ等のいずれかを含む場合。 | 移動や立位の多い仕事への従事者。あるいは、スポーツなど余暇のおける活発な運動習慣をもっている場合。 | ||
男性 | 50~69歳 | 2,100 kcal | 2,450 kcal | 2,800 kcal |
70歳~ | 1,850 kcal | 2,200 kcal | 2,500 kcal | |
女性 | 50~69歳 | 1,650 kcal | 1,950 kcal | 2,200 kcal |
70歳~ | 1,450 kcal | 1,700 kcal | 2,000 kcal |
注意:この表は、ほぼ自立した日常生活を送ることができる人を対象にしています。身体機能の低下の程度は、高齢になるほどその個人差が大きくなるので、年齢よりも現在の心身の状態を考慮した適切な栄養摂取をすることが大切です。
高齢者の一人暮らしや、高齢者だけの暮らしでは、食事が簡素になりがちで、低栄養のために健康に障害をきたすこともあるので注意しましょう。高齢者が低栄養状態になると体の抵抗力が落ち、軽い風邪をこじらせて肺炎になったりする可能性が高くなります。
高齢になると食べる能力が低下します
・噛む力が若い時の1/3ぐらいに低下する。
・食欲の低下。
・歯が弱くなる。入れ歯になる。
・固ものが食べにくい。
・胃液の分泌が低下する。
・唾液の分泌量が減る。
・のどの渇きに気がつかない。
・腸の動きが悪くなり便秘がちになりやすい。
調理法のポイント
・柔らかい食材を使う。
・材料は小さく切ったり、隠し包丁を入れる。小さく切った「きざみ食」は、むせやすく(誤嚥性肺炎の危険)、入れ歯と歯茎の間に詰まったりする難点もあります。だし汁を使うなどの工夫をしましょう。
・煮る時間を多めに取る。
・ミキサーにかける。
・ナスやトマトなど、皮が堅くて歯にひっかかりやすいものは皮をむく。
・汁気を多くして飲みやすくする。
・片栗粉などでとろみをつける。
その他
・食事は朝昼夕の毎日3回、規則正しい時間に食べ生活にリズムを。
・ひとりでベットなどでする食事は味気ないものです。できるだけ食卓についてもらいましょう。
・残し癖がついてしまったときは、どうせ食べないからと量を減らすのはやめましょう。量を減らしても残してしまい、身体機能の低下や低栄養につながります。残し癖がある場合は、逆に量を多くするといいでしょう。
・最近、栄養のバランスを考えた、高齢者向けの食事を宅配してくれる会社もあるので、利用するのもいいでしょう。こちらのサイト「糖尿病宅配食比較」で糖尿病食や介護食などを提供している会社を比較できます。